4月になると、新しい環境や役割に出会う人が増えてきます。
入学や就職、異動や配置替え。
名前や立場は変わらなくても、周りの空気が少し変わるだけで、どこか気が張る季節です。
「ちゃんとやらなきゃ」
「期待に応えたい」
そんな思いが重なって、知らないうちに力が入りすぎてしまうこともあります。
がんばっているつもりでも、家に帰るとどっと疲れてしまったり、心に余裕がなくなっていたり。
それは、気合いが足りないからではありません。
仏教では、無理を重ねることが修行だとは考えません。
大切にされてきたのは、自分の状態に気づき、調えていくことです。
うまくやろうとしすぎるほど、人は失敗を恐れ、本来の力を出しにくくなると言われています。
いつも百点を目指さなくてもいい。
今日はできたところまででいい。
八分目で終えることは、怠けることではなく続けていくための選び方です。
うまくやろうとしない、というのは、何もしないということではありません。
自分の呼吸を確かめながら、今できる一歩を踏み出す、ということです。
少し余力を残して終えると、心にすき間が生まれます。
そのすき間が、人を思いやる余裕になったり、自分を休ませる時間になったりします。
うまくやることより、今日を無事に終えること。
少しつまずいても、立ち止まっても、また歩き出せたら、それで十分です。
折れずに続いていくことの中に、気がつけば、ちゃんとその人らしさが残っています。
4月は、そんな生き方でいいのだと、そっと思い出させてくれる月なのかもしれません。
